僕は25才未経験でネットワークエンジニアとして就職しました。
一番最初にやった仕事は、夜勤ありのネットワークの運用監視業務。企業ネットワークに障害が発生すると「アラーム、発生。アラーム、発生。」と電子音声アラームが鳴り響き、回線が通常通り使えるようになるまで頑張るお仕事です。
ネットワーク運用監視がどんな業務か具体的に見てみたい方は以下の記事をご参照ください。

ネットワーク監視の仕事は「誰でもできてやりがいがない」「技術レベルが低い」「単純作業でつまらない」「夜勤があるからキツイ」などとマイナスイメージの強い仕事だと感じています。
Google検索で「ネットワーク監視 つ」って打ったら「つらい」が候補に現れて笑いました(^^;
実際に、そういった理由で辞めていく人は多いし、人の入れ替わりが早いです。僕のいた現場では、1年もいればシフトメンバーの半分は入れ替わるような感じでした。
しかし、3年半ほどネットワーク監視をやってみた経験を振り返ると、決して悪いことばかりではなかったと断言できます。常にとは言えませんが、やりがい・楽しさを感じながら働けている瞬間は存在していました。
本記事では、ネットワーク監視におけるやりがい・楽しさはどんなところにあったか?というのを僕個人の体験を思い出しながら書いていきます。
何事にも、悪い面と同時に良い面もあるんですよ!
ネットワーク運用監視は・・・
・ネットワークの大事さを痛感できた
・障害対応はタイムアタックの”ゲーム”
・経験が浅くても指導する立場を経験できた
Contents:目次
ネットワークが使えないと会社はどうなるかリアルに痛感
今後、ネットワーク構築など上流工程へ行きたいと思っている方へ警告の意味も含めて書きます。
上流へ行けば行くほど「そのネットワークに接続して実際に仕事をしているユーザー」の顔が見えなくなります。設計構築を担当するネットワークエンジニアは企業のネットワークを「作って終わり」で作り終わればまた別の案件で別企業のネットワークを作り始めます。作り終わった後に機器が壊れようが通信が止まろうが関係ありません。
そんな作られたネットワークのお世話をするのが、僕らのような運用監視チーム。
実際にそのネットワークを利用して仕事をしているお客さんから「ネットワークへ繋がらないから何も仕事が進められない」と連絡が来て「とある会社の仕事が一切進まないとかヤバすぎる」とリアルな焦りを感じつつ障害対応を進めるのは、この運用監視チームなのです。もちろんなかなか障害が直らなくてお客さんに激キレされるのも運用監視チーム。
この「ネットワークのその先に何百何千という実際の利用者がいる」というリアルな感覚は、ネットワーク運用監視を経験することで初めて体感できるものだと思っています。
この感覚は自分の仕事にやりがいを持つために必要ですし、今後ネットワーク設計構築へステップアップをしていく上でも大切な感覚です。ユーザーが使いやすいか、運用監視がしやすいかどうか、という設計観点が持てるようになるからです。
■障害時間をいかに短くできるか?
僕が一番やりがいを感じていたのはこれです。
障害が発生した後、いかに早く原因を突き止め復旧させられるかがネットワーク監視要員としての最大の腕の見せ所。仕事を始めたばかりのころは「障害起こるな起こるな起こるな」と必死になって願っていたものですが、経験を積むにつれて楽しくなってきました。
早解きパズルや推理ゲームの感覚
そのネットワークを使っていた企業の方たちには申し訳ないですが、僕は「タイムアタック」のゲーム感覚を持ちながら障害対応をやっていた部分があります。障害発生がゲーム開始の合図。
どのネットワーク機器からアラームが発生したのかを確認するのですが、アラームは障害が発生したことしか教えてくれないので具体的に何が原因かは自分自身で切り分ける必要があります。
どのようなネットワーク構成になっているのかを把握し、どこで障害が起こればそのアラームが発生するのかを逆算しつつ機器に吐き出されたログから状況を推測し適切な調査部門へ連絡する。
「状況を総合的に考えると原因はこれだ!」と断定できて、実際にそこを直してアラームが回復した時の快感はたまりません。少ないヒントをもとに犯人を突き止めた名探偵の気分です。同時にそれが外れて全く直らない時の「やべぇこれ何か間違えた終わった」という絶望もヤバいのですがw
お客さんの大事な拠点のネットワークで障害が発生すると「システムにアクセスできねーよふざけんな!」という強めのクレームがガンガン上がってくるので、間違った判断がゆるされない緊張感MAX状態での障害対応になるのですが、ネットワーク構成のほとんどを暗記できて慣れてくる頃にはデカい障害どんとこいや!という感じでスリルを味わう余裕もありました。
障害はいつ起こるか全く分かりませんし、推測しかできない状況でも方針を決めて行動しないと対応が前に進みません。おまけに障害の状況も毎回異なるので「決断力」「トラブルシュートの力」は抜群に上がりました。あとは「どんなデカい障害が起きても結局なんとかなる」という楽観性。やはり悪いことツライことばかりではなかったなぁ、と振り返ってみてしみじみ。
いかに新人を教育して一人立ちさせるか
冒頭で、人の入れ替わりが早いと書きました。すると、避けられない問題が発生します。
辞めた人員の補てんとその教育です。企業のネットワークを利用しているお客さんからしたら「人が辞めたから監視もできないっす。ちょっと新人教育する時間をください」なんて言い訳が通用しません。なので、入ってきた新人を1日でも早くひとりで障害対応や電話対応をできるように教育することが現場の大きな課題となります。
僕は、1年半ほどの障害対応オペレータを経験して大体の実務には精通した頃からそのオペレータを指導する立場へと昇格させてもらいました。その立場になってからは、ネットワーク運用監視というモチベーションを失いやすい環境でもいかに新人にネットワークに興味を持ってもらえるように教育していくか、ということにほぼ全力を注ぎました。
「新人」と書きましたが、ネットワーク運用監視の現場は文字通り若くてネットワーク関連の実務経験もないエンジニアとはまだ名ばかりの方が派遣されてくることがほとんど。
だから、せめてこの業界で一番最初に働く現場でネットワークエンジニアに失望してほしくないとの思いで頑張りました。結果それに成功したかどうかは分かりませんが、当時経験年数2年に満たない自分でも指導する立場になることができた運用監視という仕事は「やりがいのあった仕事」と胸を張って言うことができます。
これからネットワークエンジニアになるという方のために補足をしておくと、指導する側になれたのは僕が特別優秀だったというわけではありません。ネットワーク監視の現場では、1年もやれば立派な経験者扱いとなり教える側に回ることができます。(ちなみに”指導していた”というのは転職時の大きなアピールポイントになりました)
まとめ
ネットワークは普段僕たちの目に見えない部分で動いていて、かつ止まらずに動き続けることが当たり前に要求されます。しかし、その「当たり前」はこのネットワーク運用監視の仕事があってこそ成り立つものですので、実際に長い間経験した身として言えることは「もっと誇ってもいいんじゃない?」ということ。
もしあなたが監視から構築へステップアップしたとすれば、構築設計フェーズだけしかやったことのない人よりも見識の広いエンジニアになることができます。「運用監視の実際」を知らずに無責任なシステムを作るエンジニアにはなりたくありませんよね?その経験が無駄になることは絶対にありませんので、安心してください。
▼僕がネットワークエンジニアになった経緯
